牧師ブログ

本当のメリークリスマス(その1)

12月に入り、いよいよ今年もあの季節が迫ってきました。
そうです、「クリスマス」です。

クリスマスと言うと、日本では恋人と一緒に過ごす特別な日というイメージがあると思います。
だから、クリスマスが近づくと必ずと言っていいほど話題に上るのが「恋人作らなきゃ問題」です。
恋人がいる人にとっては「今年はどこのイルミネーションに行こうかなぁ」などと贅沢な悩みをしますが、そうでない人からするとクリスマスというのは、喜ばしいどころか悲しみの日になってしまいます。

街中に電灯が灯って、きらびやかに彩られる雰囲気に心踊る人がいる一方で、なんだか寂しい気分になり、孤独を感じることも多いのが、このシーズンの特徴かもしれません。

いくら毎年この時期に街が華やかになっていたとしても、その時の自分の状態次第で喜びの日にも悲しみの日にもなってしまっているのが、昨今のクリスマスだと言えるでしょう。

しかし、聖書を見ると、本当のクリスマスの喜びがなんであるのか、私たちに教えてくれています。

なぜ毎年、それも世界各地でクリスマスが注目されているのでしょうか?
これほどまでにクリスマスが盛り上がるそのわけは、イエスキリストが深く関わっています。
実は、クリスマス(Christmas)は「Christ(キリスト)+mas(ミサ、礼拝)」なんです。

イエスキリストはおよそ2000年前、ユダヤの地(現在のイスラエル)に生まれました。
その誕生の知らせは、イスラエル地方の人々に広く知れ渡りましたが、イエスキリストの誕生を喜び、それをお祝いした人たちはごく僅かな人々しかいませんでした。

世界で初めのクリスマスは今のようなキラキラした雰囲気ではなく、むしろ暗闇の中に置かれた希望が見えない時代だったのです。

その原因となったのが、当時ユダヤ地方を治めていたヘロデ大王という人物です。
聖書を見ると、彼が「ユダヤ人の王が生まれた」という話を聞いた時に「不安を抱いた」とあります。
それは、別の王が生まれたという話はヘロデにとって、その人が新たな王となり、自分は王座から退けられることを意味していたからです。

ヘロデは自分の王座を守るために、イエスキリストが生まれたベツレヘムとその周辺一帯にいた2歳以下の男の子を、皆殺しにする命令を出しました。

そのため、イエスを産んだヨセフとマリアは、生まれたばかりの幼子を連れて、その日のうちにエジプトに逃げて行きました。
結局ヨセフ一家は、ヘロデが死ぬまで、異国の地であるエジプトで暮らすことになりました。

しかし、事態はこれで終わりませんでした。
ヘロデの死後、ヨセフ一家は故郷のイスラエルに戻ってきましたが、今度は、ヘロデの息子であるアルケラオという新たな王が、ユダヤを支配していたのです。
それでヨセフ一家は、今度はイスラエル北部にあるナザレという町に逃げて行きました。

このように、イエスキリストが生まれたクリスマスの喜びというのは、ヘロデという1人の王様の暴挙によって、一転、暗闇の世界に転落してしまいました。
世界で最初のクリスマスは、とてもじゃないけど「メリークリスマス!」と言えるような世界ではなく、政治的にとても厳しい時代だったのです。

(続く…)