家族と仕事はどうする？
今読んだところの最初に、シモンとアンデレの家で起こった奇跡の話が書かれていました。キリストは安息日に会堂で教えた後、弟子たちを引き連れて、弟子のシモンとアンデレの家に行きました。
家に着くと、シモンのしゅうとめが熱を出して、寝ていました。
それでキリストがしゅうとめのそばに行き、手を取って起こすと、しゅうとめの熱は去りました。
すると彼女は、キリストと弟子たちをもてなしました。
このような奇跡の物語は、福音書の中にたくさん書かれています。
他にも、悪霊が追い出されたり、歩けない人が歩けるようになったり、目が見えない人が見えるようになったりと、スペクタクルな奇跡がたくさんあります。
しかし、その中でも「熱が下がった」という奇跡は、キリストがなさった奇跡の中では、かなり地味な話です。
なぜそのような話が、福音書に残されているのでしょうか？
おそらく、この話のポイントは、キリストがなさった奇跡そのもの以上に、そこがシモン・ペトロの家だったことにあると思います。
キリストは宣教を始めたばかりの時、ペトロの家を訪れました。
マルコによる福音書の1章の前半に、宣教を始めるに当たって、キリストがシモンと兄弟アンデレを弟子として招く場面があります。
キリストは、漁をしていたシモンとアンデレに対して「わたしについて来なさい」と言いました。
すると、2人はすぐに網を捨てて、キリストに従いました。
この場面を読んだ多くの人は、仕事と家族はどうするのかと思うことでしょう。
聖書には「2人はすぐに網を捨てて従った」と書かれています。
せめて網を置いていけばよかったのではないかとも思いますが、捨てたということは、もう漁師に戻るつもりはないという決意の表れだったと思います。
また「すぐに従った」とありますが、2人は家族に何も言わずに出て行ったのでしょうか？2人は家族を養う重要な立場にあったと思いますが、この福音書を読む限りは、誰に相談することもなく、突然、仕事もやめて、家族に何も言わずに家を出て行ったように書かれています。
キリストに従う決断をした2人は、決して家族を捨てたわけではなく、家族のことを心配していたと思います。
だからこそ、キリストは安息日で会堂で教えた後すぐに、シモンとアンデレの家族のもとを訪れたのでしょう。
家族への想い
キリストは、熱があったしゅうとめを癒しました。
癒されたしゅうとめは、キリストと弟子たちをもてなしました。
もてなしたというのは、奉仕した、仕えたということです。
つまり、この場面が伝えていることは、こういうことです。
キリストに従った弟子の家族は、キリストに出会い、キリストに仕える人に変えられたのです。
2人は、一旦、家族のことは置いておくという大きな決断をしましたが、キリストは誰よりも2人の家族のことを気にかけておられたと思います。
キリストは積極的に、2人の家族に関わってくださったのです。
そして、2人を通して、しゅうとめはキリストに出会い、キリストに仕えるようになったのです。
私達の家族も、クリスチャンではなく、実家は金沢からは遠く離れています。
実家の横浜に行くことだけを考えれば、東京にいた方が、電車で1時間ちょっとで帰れますし、奄美に行くためにも、東京からの方がずっとアクセスしやすいです。
でも、こうして金沢に導かれて、金沢で生活することを選びました。
もちろん、たまに家族に会う機会はありますが、今は、金沢から家族が救われることを祈っています。
海外から日本に来て、ここに住んでいる人にとっても、遠く離れて暮らしている家族のことを気にかけない日はないでしょう。
でも、キリストは誰よりも私たちの家族を気にかけてくださっています。
私たちがキリストに従う決断をする時、キリストが私たちの家族に積極的に関わってくださるのです。
キリストに出会う場所として
そして、話はこれで終わりではありません。
その後、シモンとアンデレの家族を通して、キリストのことが町中に伝えられていきました。
しゅうとめが癒された後、夕方になって日が沈むと、町中の人々が、病人や悪霊に取り憑かれた人をキリストのもとに連れて来ました。
また、次の日になり、キリストが朝早く、人里離れたところで祈っていた時、弟子たちは、みんなが探していると言って、キリストを連れ戻しに来ました。
それだけ、キリストを求めていた人々がたくさんいたということです。
この時、人々は、病人や悪霊に取り憑かれた人を連れてきたは、キリストがいたシモンとアンデレの家でした。
この後、マルコによる福音書の2章では、人々がキリストの周りに集まりすぎて、その家の屋根が破壊されるという事件が起こったが、これはおそらく、シモンとアンデレの家だったでしょう。
このように、2人の家は、ガリラヤ伝道の拠点となったのです。
町中の人々がシモンとアンデレの家に集まり、そこで、キリストの恵みにあずかるようになっていきました。
シモンとアンデレの家は、イエス様に出会う場所と変えられたのです。
私もこのようなビジョンを抱きたいと思いました。
今は、家族が救われることを祈っていますが、それだけではなく、私たちの家族がキリストに出会う場所へと変えられることを祈りたいです。
奄美の実家のサンドイッチカフェには毎日たくさんの人々がサンドイッチを求めて集まっていきますが、いつの日か、キリストを求めて人々が集まる場所へと変えられることを祈りたいです。
今、私たちの教会もカフェのリフォームの計画を進めています。
この場所を通して、人々がキリストの愛に触れ、キリストを求める人々が共に礼拝する共同体へとなることを願っています。
