牧師ブログ

どうして人は結婚するの?(14)

『完全自由競争の恋愛市場①』

今の社会において、多くの人々が人生に求めているもの、それは個人の幸せ」です。
個人の幸せが追求されるところでは、必然的に消費者中心社会ができあがります。
買い手である消費者は、多くの情報を得ることで、より多くの選択肢を持つことができるようになりました。
そのため、売り手との関係性よりも、良い商品をより安く手に入れること(個人の幸せ)に価値を置く消費者優位の社会ができあがりました。

同じように、今は恋愛市場でも完全なる自由競争の中で個人と個人が出会い、結婚に至るというのが当たり前の時代です。
そういう消費者中心の恋愛市場では、必然的に「勝ち組/負け組」なるものが生まれます。

しかし、ひと昔前の恋愛市場は違いました。
人生の主な目的は、個人ではなく家族」や「社会」にありました。
そのため、結婚も家族や周りの勧めによって夫婦となるケースが多々ありました。
親同士で話が進み、お見合いや紹介を経て結婚するという流れです。
そのため、結婚は「自分の幸せのため」というよりも、家族のため、社会への義務を果たす道だったのです。

昔はよく「駆け落ち」するカップルがいました。
駆け落ちというのは、仕事や学歴等を理由に、親から結婚の許可を得ることができない男女が、家族と縁を切る覚悟で逃避行することです。
これは、結婚が「家族のため」という考えが強くあったからこそ生まれたもので、個人の幸福を追求しやすい今の日本では、なかなか考えられないことです。

今や結婚は、消費者として自分の納得できる相手を納得いく値段で手に入れる時代になりました。
男女関係までもが「商品化」される時代になってきたということです。

そこにあるのは、完全自由競争の恋愛市場です。
消費者として市場調査を行い、自分を売り込む販促活動と相手を手に入れる受注交渉によってカップルが生まれ、別れ、またくっつくということが繰り返されます。
そういう中で、結婚の本質は完全に隠されてしまいました。

(続く…)