牧師ブログ

どうして人は結婚するの?(11)

『結婚の三大原則(自立、結合、一体)』

「こういうわけで、男は父母を離れて女と結ばれ、二人は一体となる。」
(創世記2:24)

「父母を離れて」→自立
1つ目の原則は、自立することです。
結婚とは自立した者同士の相互関係によって、初めて成り立つものです。
「家事が苦手だから妻が欲しい」とか「仕事したくないから夫が欲しい」とか、はたまた「一人だと寂しいから結婚したい」などを理由に、結婚を望むことがあります。
そうすると、必ずと言っていいほど結婚後に夫婦関係に問題が生じます。

結婚の目的は、自分の足りない部分を補ってくれる人を獲得することではありません。
親から自立した一人前同士がくっつくのが、聖書が教える結婚観なのです。

親から自立することは、実家を離れて一人暮らししながら、経済的に自立していることだけを言うのではありません。
親から自立した人は「自己管理」「自己選択」「自己責任」によって生きていきます。

そう考えると、親にとって子育ての目的とは、子供を自立させることに尽きます。
子育てとは、手厚く子供の世話をしてあげることではありません。
むしろ、だんだんと子供の世話をしなくても大丈夫なように、親から離していくことが子供にとっての本当の成長なのです。

「結ばれ」→結合
2つ目の原則は、結合することです。
よく夫婦になることを「結ばれる」と表現しますが、これは聖書的に言えば「契約によって結ばれる」ということなのです。

最近は、単に同じ屋根の下で一緒に暮らしているだけの夫婦が増えています。
しかし本来、結婚とは「契約」によって結ばれている二人の関係を前提にしています。
これが、結婚と恋愛の大きな違いです。

ドイツの牧師であるボンヘッファーは、こう言いました。
「愛が結婚を持続させるのではない。結婚制度が愛を持続させるのだ。」

付き合っているうちの二人は、いくら永遠の愛を誓い合ったからと言って、まだ契約関係ではありません。
いつでも簡単に、別れを選ぶことができる関係です。

しかし、夫婦は契約によって結ばれているからこそ、すぐに別れる決断をするのではなく、その関係に踏み留まることで、結婚生活を通して親密感にあふれる関係を築いていくことができるのです。

「二人は一体となる」→一体
3つ目の原則は、心と体の一体化です。
夫婦とは、心も体も一つにする一心同体にある二人の関係のことです。

ここで「一体になる」というのは、相手のものを自分のものにするジャイアン的な一体のことではありません。
お互いに自分の全てを与え合うことが、聖書が言う一心同体の意味です。

しかし本来、全く異なる二人が一つになるというのは、とても不自然なことです。
夫婦というのは、まず性別からして異なりますが、それだけではなく、育ってきた家庭環境が違えば、当然、性格や価値観も違ってきます。

多くの人の場合、同性の人の方が気が合うし、一緒にいて楽だし、面倒なことが少ないことも確かです。
しかし、その違いを乗り越えて一つになるからこそ、夫婦には同性同士にはない一体感と親密感が生まれるです。

夫婦とは、自立した者同士が契約によって結ばれて一心同体となった、他には類を見ないユニークな人間関係である!