牧師ブログ

どうして人は結婚するの?(8)

『恋愛というファンタジーと結婚という現実』

幸せな結婚生活を送るために、最も大切なものは何でしょうか?
さえあれば他に何もいらない!
と思うかもしれませんが、本当にそれで大丈夫でしょうか?

恋愛や結婚に対する憧れがあまりにも強過ぎる場合、大切なものを見逃してしまうことがあります。

恋に落ちている時というのは、いわばファンタジーの世界にいるような状態です。
そこでは「この幸せは永遠に続くんだ!」とか「この人のためならなんでもできる!」という熱い思いが湧き上がってくることがありますが、残念ながら、その多くは恋愛が引き起こす一種の幻覚症状に過ぎません。

恋愛中というのは感情が高まり、相手のことで頭がいっぱいになります。
そのため、彼氏彼女がなんだか理想の人に見えるという幻覚が生じてしまうのです。

恋愛中に感じる高揚感幸福感は、相手と親密な関係ができたような錯覚を生じさせます。
そういう錯覚は、相手の真の姿を見えなくしてしまいます。

よく結婚してから、これまで知らない相手の姿を目の当たりにして「こんな人だとは思わなかった…」「騙された…」と嘆きの声を聞くことがあります。
それは、付き合っている時に相手の本当の姿を見ようとしていなかったか、相手に本当の自分をうまく隠されていたためです。
相手が結婚してから急に態度を変えたのではなく、もともとそういう人だったのです。

恋愛が終わり、結婚生活が始まると、幻覚症状から覚めた現実の世界へと引き戻されます。
そこは、もはやディズニーランドなんかではありません。
地元の動物園です。

次第にお互いの本性が露わになり、親密感という幻想が消えていきます。
あんなに愛し合っていたことが嘘だったかのように、相手への怒り失望が湧き上がってきます。

ちょっと悲観的に言い過ぎましたところもありますが…でもこれが結婚という現実です。
結婚生活はロマンスなんかではなく、人間の自己中心性人間の自己中心性が相まみえるところです。

一対一のタイマン勝負、ルールなし、審判なし、時間無制限。
簡単には決着がつきません。
こんな条件だからこそ、家庭内ではモラハラやDVが非常に起こりやすいのです。

恋愛中ののぼせ上がった状態を「愛」であると勘違いしてはなりません。
付き合っている最中に「なんか最近冷めてきちゃって…」と感じるくらいがちょうどいいのです。

相手の自己中心性を見て見ぬ振りをしてはいけません。
相手との関係に葛藤する中で、本当に相手を愛するということに目が覚めるのです。

恋愛にのぼせ上がらず、相手と真正面から向き合いながら愛する努力を!